第3章さあパートナー さあ独立 Vol.2
(リモート座談会 2022年6月)

吉田 健詞郎(左) 東弁 66期/桜井 康統(中央・司会) 二弁  66期/宮本 理史(右) 東弁 67期

独立のきっかけと選択肢

中西:まずはお二人の勤務状況を教えてください。

E:私は2020年の8月に独立しました。自身で事務所を構えて一人で独立した形です。独立以前に所属していた事務所でも2年目からはイソ弁という形でしたので、実態としてはすでにその頃から独立していたと言っていいのかもしれません。ですので、自分の事務所を作ることに大きな不安はありませんでした。

D:私もほぼ同じ時期の、2020年6月に独立しました。私の場合は別の弁護士が立ち上げた事務所にスターティングメンバーとして参加した形です。並行して任期付き公務員の仕事もしており、当時はそちらからの収入がメインだったため、勢い込んで「独立だ!」という感覚もなかったですし、収入面での危機感なども持っていませんでした。ただ、出産を機に一時期弁護士業から離れていたため「もう一度弁護士として頑張りたい」という気持ちがあり、その意味ではかなり大きな転機でした。

中西:一人で独立、メンバーとして独立という違いがありますが、それぞれなぜそのような独立形態を選ばれたのでしょうか?

D:私の場合は事務所を立ち上げた先生へのリスペクトが大きかったですね。多様な働き方というのをモットーとした先生で、朝から晩まで働けなくても弁護士業務ができる環境を作る、という信念を持っていらっしゃいます。その信念に共感し、一緒に働きたいと思ったことがきっかけですね。

E:私は寂しがり屋なので、誰かと一緒に働きたいという思いはありました。ですが残念ながらパートナーを見つけることができず、一人での独立を選択せざるを得なかったという感じです。

不安なく独立するための秘訣とは

中西:独立してから苦労したことはありますか?

E:人員の確保には苦労しました。以前の事務所にはベテラン事務員さんがいましたが、それがいきなり無くなるというのはかなり大きかったですね。

現在は週3日勤務の事務員さんを雇ってお手伝いいただいています。また、去年1年間は1年目の新人弁護士を縁故で採用することができましたが、つてがない場合には組織力のない小さい事務所ではまず採用が難しい。今後のことも考えると、人手を増やすことができないのは厳しいなと感じています。

D:私の場合は徐々に弁護士として復帰しつつという側面があるので、自分の売り上げを上げていくことで精いっぱいです。ただ、やはり事務所として人を増やす難しさは実感しています。パートナー弁護士を見つけるのも求人という意味で大変ですが、勤務弁護士を雇うのは金銭的にも難しいなと感じています。

中西:お二人とも独立時の不安はあまりなかったようですが、安心して独立するために必要なことは何でしょうか?

E:私は、顧問先をたくさん持っていないとだめだと常々先輩方から指導されていて、それを実践していました。太い顧問先を1本2本持っていたとしても、解約されてしまった時に大きな痛手になります。ですので、小さくてもいいから顧客の数を増やす。このアドバイスに従ってコツコツとやってきたことが、不安なく独立できた大きな決め手だと思います。

中西:まさに顧客数は礎ですよね。私も独立前に顧問先を10件ほど増やし、「これで独立できるな」と思ったことを思い出します。

D:私も顧客を増やす重要性はひしひしと感じています。一方でこれからの弁護士は「何でもやります」ではだめで、顧客を増やすにしても個性や専門性を打ち出していく必要があるのではと感じていて、まさに今、自分の価値とは何かを模索しているところです。

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座談会「さあパートナー さあ独立」
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